短文小説


ティーオの闇

ティーオは獨り『空間』に漂っている。
苛々は何をしたとて收まらない…
レーンを幾度罠に嵌めても、氣分が晴れる事は無い!
そんな事は、誰に云われるまでも無くティーオ自身が一番觧っていた。
それでも、ティーオは繰り返す…レーンが困る事を!その後クーレーが『仕事』を増やされると識りながら…

ティーオは不意に何も無い空間に、己が『氣』を放ち合わせ衝撃を興す!

《ヴォン!!!》

その衝撃はティーオの兩の掌へ滑りをを與え、ティーオは痺れ切れる痛覺を憶え苦笑した。

その刹那…
ティーオの『空間』は大きく…そして優しげに歪み、其處にはクーレーの姿が佇んでいた……。

※※※※※※※※※※※

『ティーオ…如何した?』
クーレーは、何時もと何等變わらない樣相でティーオへ言葉を掛けて行く。

ティーオは决してクーレーへ夲心を語る事は無い…
何時も、ノラリクラリと躱しつつ眞實を語ろうとはしないのだ…
クーレーには、何よりもそれが齒痒いのだがティーオにはティーオの『想い』が有るのだろうと、今迄ソノママにして來たのだった。

然りとて、ティーオの諸行はその都度エスカレートの一途を辿り、此の儘では『六つの世界』そのモノにも影響を齎す可能性までもが出て來て仕舞った。
今…『六つの世界』は、ティーオを支持する存在2つとレーンを支持する存在1つ(クーレーは中立)で、冷戰状態とまで爲り兼ねないのが現状で有った…。

『ティーオ?』
クーレーは、未だ言葉を紡がないティーオへ再度音を吐いた。
ティーオは、ゆっくりとクーレーの方へ瞳を向けると…
『申し譯有りません…イタズラが過ぎた樣ですね、これからは氣をつけます』
と、イツモドオリに言葉を紡いだ。

その眼差しは、冷たく『何も映さない』色を醸し出している…
クーレーは、微かに微笑むと『そうか…ティーオ』そう呟くと『ただ…お前は少しヤり過ぎた』とのみ言葉を發し、何も映さないティーオの瞳を靜かに射拔いた。
瞬間!
ティーオは『ドキリ』とし、それと同時にエネルギーが冷たく爲って行くのが判った…
ティーオはその刹那《矢張り、兄はレーンしか要らないのだ…》と感じつつ、ソレは見せずに言之葉を紡いで行く…
『はい…反省しております、罸は如何樣にもお受け致します』
クーレーは、その言靈に苛衝きながらも『近々會合を開く』との言葉のみを殘こし『自らの空間』へと、音も無く唯…美しい緋色の長いウェーヴ掛かった髮を微かに搖らしながらスッと消えて行く…

※※※※※※※※※※※

ティーオは、再び獨りの『空間』でミラー越しの『己』へ怒りの衝撃を與えると、ソレは難なく粉々に碎け散り…

その姿はレーンともティーオとも觀え
、ティーオは我知らず聲を出さずに狂笑(わら)っていた……。


『第3話完…次話に續く』

2007'6.12
3/4